2012年11月30日金曜日

カレンダー (後編)

 
七月「カモミール」 染料 松煙 藍 小鮒草 媒染 アルミ
前に住んでいたところの庭にたくさん咲いていて、
時々花を摘んではお茶に入れていました。
陽を受けて一面に広がっている花の感じを出したいと思いました。
 
 
八月「そば」 染料 松煙 藍 ヤマモモ 媒染 アルミ
信州の八月のそばの花。
全体に薄緑で花に混ざって実が白く見えます。
一週間くらいたつと、どんどん茶色っぽくなってきます。
 
 
九月「カラハナソウ」 染料 松煙 ラック 小鮒草 媒染 アルミ
五倍子を採りに行ったら木に絡んでいました。
薄き緑の重なりが陽を受けてきれいでした。
 
 
十月「どんぐり」 染料 松煙 クヌギ(樹皮) 媒染 アルミ
山すそのクヌギの木々は実をたくさん落としていましたが
去年はたくさん拾えた傾斜のきつい山の上の方は
未熟なまま落ちてしまったものばかりでした。
夏の暑さと水不足のせいでしょうか。
 
 
11月「数珠玉」 染料 松煙 五倍子 媒染 鉄
雨模様の日にスケッチした数珠玉。
白地の図案のためにあるような植物だなぁと思いました。
 
十二月「寒桜」 染料 松煙 ラック 藍 媒染 アルミ
冬の寒空の下で咲く寒桜を絵のように表したくて
いつもの浸し染めや引き染めではなく
色々な大きさのぼかし刷毛を使って仕上げました。
最後に明礬液に浸して媒染し、同時に糊落としをしました。




 
 

2012年11月26日月曜日

カレンダー (前編)

 
 
 
一月「冬青」 染料、松煙 ラック ヤマモモ 媒染、アルミ
何度染めても様々な赤味で楽しませてくれる染料です。
信州ではお正月飾りとして、しめ縄等とともに使われます。
 
二月「君子蘭」 染料、ラック エンジュ 松煙 ヤマモモ 媒染、アルミ
緑の葉の中に華やかな花です。
冬の間はたくさんの鉢を玄関に入れていました。
 
三月「桃」 染料、松煙 ラック 媒染、アルミ
叔母が散らし寿司を持ってきてくれた時に、
添えられてた一重の桃の花。
 
四月「鈴蘭」 染料、インド茜 媒染、アルミ
葉は丸みを帯びた可愛い鈴蘭だったので、なるべく単純に、
そして暖かみのある色にしました。
 
五月「羽蝶蘭」 染料、松煙 ラック 藍 キブシ 媒染、鉄
近くの山中の集落の人たちが、周りの岩肌から採集した羽蝶蘭を
庭先で育てていました。二つの型を使い、摺り込みと糊付け、
ぼかしの3つの技法をつかって。地色はその山でもよく見かけた
キブシを使って染めました。
 
六月「オオヤマレンゲ」 染料、松煙 ラック エンジュ 媒染、アルミ
白い花を生かすのには松煙はとても適した染料です。
可憐にして、華やかなオオヤマレンゲの花弁の白さを一番大事に染めました。


2012年11月20日火曜日

カレンダー 接着しん

カレンダーの染めあがったものから
接着しんをアイロンでつけていきます

裏にして日にち、図案のゆがみを矯正します。
アイロンで平らにして
接着しんを置いて、当て布を置き
アイロンをまたあてて
完成です。

最近はずっとこの作業をしています。
体感時間長いです・・・。

2012年11月15日木曜日

百日紅考察

いままでの試験布染で百日紅の染液は沈殿をおこしやすいこと、はがれおちた樹皮は色素が、やや少ないことなどがわかっている。

また、紅葉の始まる11月ごろの色素が多く、黒染向きといわれている。

 

今回は116日に葉と小枝、実の部分に分け煮出す水3Lに米酢15mlを加え30g100gの色の出方を見た。

 

米酢を加えたことによって、染液のPH66,5になり、沈殿はどの染液でもほとんどおきなかった。

 

染色は 煮染10分、媒染(0.2%木酢酸鉄)20分、再煮染10分に統一した

 

一番液を染めおわっても液の色がほとんど変わらなかったので、その残液で同様にもう一度染めたのが残液1、さらにその残液で染めたのが残液2である。

試験布染の結果では、小枝と実に関しては30gより100gの方が幾分濃くなるが、葉25gとは80gになると、葉80gの方が赤みは強い。葉の方が小枝、実よりも同僚における色素量は多いと思われるのでは80gは、かなりの量の色素を持つが、沈殿はしていないものの色素結合などによって鉄結合による発色が、幾分抑えられたように思われる。

 

色素量の多さでは葉>>枝の順になる。3Lで煮出すとなれば、葉は20g前後、実は60g、枝は120g前後で重ね染をすることで適量の染料で黒染ができるものと推測できる。

またお酢を加え、水に溶けやすい状態にしたせいかもしれないが、一度の染色で、色素の吸着は一部にとどまる。残液12でも濃色が得られていることから染液では重ね染が有効であると考える。

 

また二番液も葉では一番液と同様、小枝や実はやや薄色になるが、かなり色素が溶出いていることがわかる。残液2の赤みが強いのは、どういうことか、長時間の熱処理によって赤味をすこし出す分子構造に変化したものと考えられる。

 

木綿における残液は一番液よりも少し濃くなっているのも注目する点だが、誤差の範囲で同様な発色をしていると考えるべきかとも思っている。

 

現時点では

★百日紅は一番液、二番液を葉20g、実60g、枝120g/3Lの割合で沸騰後長めに煮だし、

それぞれの液で、染液→鉄媒染→染液を34回くり返し、中干し後数日後に、同様な染色をするのが良いように思える。

2012年11月12日月曜日

カレンダー製作

午前中はカレンダーの製作で
藍の刷り込みやのり付けなどをしてました。
 
7月「カモミール」、12月「寒桜」
オオヤマレンゲはまずのり付けをして刷り込みをするのに対して
寒桜は刷り込みをしてからのり付けをします。
 
今日糊をつけたのは11月「数珠玉」
 
しんし打ちです。両端を引っ張るためにうちます。
私どもはこのように糊面を下にしますが
一般的には糊面を上にして打つそうです。
 
午前中外の天気が悪いです。全然乾きません・・・
 
午後日も当たるようになったので豆汁をひいて、墨でぼかしを入れました。
 
天気がよくなってきたので、もう一回引けるかと思ったら3時には
干場が陰ってしまい引けませんでした。お天気仕事の辛いところでした。
 
 

2012年11月7日水曜日

さるすべり 試験布染研究会

試験布染研究会がありました。
題材は「さるすべり」です。
←(葉)

水3Lに酢15cc、葉、枝、実をそれぞれ入れ煮出します。
(葉25g:80g 枝30g:100g 実30g:100)

←(実)

沸騰後20分でとります。
酢は煮出しの際に色素の沈殿を防いでくれます。

とった液に絹と木綿(10×12)を入れ10分煮染を行い、
その後20分鉄媒染します。

画像奥の茶味を帯びている方が100gの実
手前の黄味の強い方が30gの実です。


鉄媒染に入れた直後、無媒染状態ですとかなり赤いですね。
木綿はやはり絹に比べるといまひとつ染まりが悪いです。
 
 
媒染が終わったら10分煮て干して終了です。

今回は途中で残液での染の提案があったので
一番液の残液とさらにその残液、合計36枚
二番液含めて48枚となかなかのボリュームになりました。
 
今回は軽く手順だけ・・・
考察はまとまったらUPさせていただきます。

2012年11月4日日曜日

昨日から信州で主に自生するという
「冬青」でストールを染めました。
名前の通り冬でも青い常緑樹です。
今回は葉のみを400gつかいます。
前処理としてミキサーにかけてある程度
細かくして2時間置きます。
すると酸化と酵素反応がすすみ、所々黒くなります
沸騰後30分、葉は完全に茶色くなります。
染液→水→アルミ媒染→水→染液→水・・・を繰り返していきます。
約80℃で湯洗いをします。
干して完成です。一週間ほど置いた後に再び染めをかけると
もっと濃い赤になるので半分はかけたいと思ってます。

2012年11月2日金曜日

 「第一回草木染伝習所展」が昨日終了しました。
 
会場にいらしてくださった皆様、協力してくださった皆様のおかげで
とてもよい展覧会になりました。
 
このブログでも少しずつUPしていく予定だったのですが
都合であまりUPできなかったので今回一部画像を
載せさせていただきます。
 
「芽吹き」
染料「ラック」「松煙」「エンジュ」
 
 
「くさぎ」
染料「ラック」「松煙」「エンジュ」「藍」
 
 
「もみじ」
染料「ラック」「松煙」「藍」「ざくろ」
 
 
「白樺」
染料「ラック」「松煙」
 
「板締め」
作者 植田 美紀さん
 
簡略してあげさせていただきました。